忍者ブログ
花見て一杯。
[94]  [93]  [92]  [91]  [90]  [89]  [88]  [87]  [86]  [85]  [84
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「心臓に毛が生えている理由」米原万里

移動図書館から借りた本。
この方の本は、妙に堅苦しいときと絶妙に面白いときが極端なんだけど、
この本は「面白い」に軍配を揚げちゃう。
ロシア語と日本語から見る、わかりやすい比較文化論みたいなエッセイ。

どれも面白くて、すべてに感想を書きたいくらいなんだけど、
特に面白かったのが「言い換えの美学」という文章。

「同時通訳をつとめるわたしは、わずか30分ほどの通訳をしながら、
 50回以上は『ゴルバチョフ』という語を発した。」

ところが、もともとの発言者は2、3回しか『ゴルバチョフ』と言っていない。
なぜなら代名詞が多種多様だから。

「ライサの夫」
「チェルネンコの葬儀委員長」
「新しい党書記長」
「ペレストロイカの開始者」・・・・などなど。
「同じ事柄を同じ単語で指し示すのを避けよう避けようとする」ものらしい。

・・これは欧米文化圏に共通するものらしいんだけど、納得。
向こうのミステリを読んでいると、
どーしてこんなに修飾語が多いんだあああああっと叫びたくなることがあるもんなー。
わかんなくなるのよ、あんまり修飾語が多すぎると誰が誰だか。
しかも、無意味にかっこつけてるようにしか思えなくなるのよ。
そうか、そういう文化だったのか・・。

同じ言葉を何度も言うのはみっともない、と言う文化は日本にもあると思うんだ。
だけど日本はその場合、省く方向に進化してると思うんだけど。
(源氏物語なんかその極致で、喋ったのがにょーごなんだかしゅじょーなんだか)
別の言葉で言い換えるというのは、
なんつーか、「巧言令色少なし仁」に通じてしまうような気がするんだけどな。

ところで。
ロシア語から日本語に変換するのは、まだしもラクであるらしい。
大変なのはその逆、日本語からロシア語に変換する場合。
日本語だったらすべて「総理は」「総理が」になってしまうのだけど、
「そのまま訳すと、聞き手のロシア人には恐ろしく幼稚で無知無教養な人の発言に聞こえてしまう」
ものであるらしい。
だから言い換えようとするのだけど、

「浮かぶのは、
『霞ヶ関の蜃気楼』
『鮫の脳みその持ち主』
『日本を神の国と思い込むリーダー』
・・・と、口にするのがはばかられるフレーズばかりなのだ」

ちなみに森首相の時代。
今だったらどういうフレーズになるのかなー(笑)

拍手[0回]

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
12 2025/01 02
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
最新コメント
[05/29 かずさ]
[05/29 真理子]
[05/14 まぎぃ]
[02/27 真理子]
[02/27 真理子]
プロフィール
HN:
真理子
性別:
女性
バーコード
カウンター
ビジター
忍者ブログ [PR]